「短歌人」編集委員紹介

現在、「短歌人」には15名の編集委員がおります。

作品は、どの編集委員に送ってもよく、途中での変更も可能です。

誰に送るか悩んでいる方は、参考になさってみて下さい。

​川田由布子

1947年(昭和22年)生まれ

1971年(昭和46年)「短歌人」入会、現在同人

2011年(平成23年)より「短歌人」編集委員

2014年(平成26年)より「短歌人」発行人

歌集『かるい水』(本阿弥書店)1993年(平成5年)刊

歌集『天維』(ながらみ書房)2000年(平成12年)刊

歌集『水彩都市』(ながらみ書房)2008年(平成20年)刊

 自選作品

  橋越えてふくらみながらやってくる都営バスには日の丸の旗

  春の塩 計量スプーンにかがやくをパスタのために投入したり

  夢ならぬうつつの闇の夜光虫さねさし相模の海に光れる

  降りては止みまた降り出だす雨の日は清澄庭園に亀を見にゆく

  小走りに女性ふたりが消えゆきて江戸資料館通りに時雨

​藤原龍一郎

1952(昭和27)年1月18日、福岡生。
十九歳の頃に中井英夫『黒衣の短歌史』を読み、作歌を始める。
学生時代、早稲田短歌会、早稲田ミステリクラブに在籍。
早稲田ミステリクラブで故仙波龍英と知り合う。
1972(昭和47)年、「短歌人」入会。1990(平成2)年、短歌人賞受賞。現在、編集人。
1990(平成2)年、第33回短歌研究新人賞受賞。歌集に『東京哀傷歌』、『ジャダ』他。

 自選作品
  ああ夕陽 あしたのジョーの明日さえすでにはるけき昨日とならば
  プラタナス濡らして夜の雨が降る濡れたきものは濡らしてやれよ
  世界終末時計はすすむ酷熱の五輪寒雨の学徒出陣

 編集委員からひとこと
  短歌はマラソンです。瞬発力勝負ではなく、持続の意志と力が大切。

​今井千草

1948(昭和23)年徳島県生まれ。1990(平成2)年、「短歌人」入会。

2008(平成20)年より「短歌人」編集委員。
歌集に『黒砂糖』(ながらみ書房)、『パルメザンチーズ』(六花書林)がある。

『黒砂糖』は日本歌人クラブ東京ブロック第9回優良歌集賞受賞。


 自選作品
  黒砂糖とろりと溶けて夫も子もおらぬ一夜のフランス映画
  壁であったか橋であったか礎であったか瓦礫の元の名前は
  アンドーヤは北緯六十九度にてトナカイ料理のあるという町
  帰り来て身をほぐすとき毛穴より今井千草が抜けてゆくなり
  追手来たらば切り落すべきかずら橋風におんおん揺るるをわたる

 

 編集委員からひとこと
  先輩歌人の「歌人は歌を作ってなんぼ」の言葉がいつも頭の中で鳴っている。肩の力をぬいて

 パッチワークでもするように言葉を繫ぎ合わせてゆきたい。

​宇田川寛之

1970(昭和45)年、東京都北区生まれ。

1991(平成3)年、「短歌人」入会。

2005(平成17)年より編集委員。

2017(平成29)年、歌集『そらみみ』(いりの舎)刊。

 

自選作品

鳥曇の午後はむやみにせつなかり敗戦処理の投手か我は     

生まれたての風をまとひてたはむれる子のてのひらのさくらはなびら 

無名なるわれは無名のまま果てむわづかばかりの悔いを残して

​内山晶太

​生沼義朗

1975(昭和50)年、東京都新宿区生まれ。

1993(平成5)年9月より作歌をはじめ、1994(平成6)年「短歌人」入会。

1998(平成10)年、短歌人新人賞(現・髙瀨賞)。2004(平成16)年、短歌人賞。

2007(平成19)年より2016(平成28)年まで会務委員、2017(平成29)年より編集委員。

歌集に『水は襤褸に』(第9回日本歌人クラブ新人賞)、『関係について』、

共著に『現代短歌最前線 新響十人』がある。

 自選作品

  ペリカンの死を見届ける予感して水禽園にひとり来ていつ

  センサーというものかなしみずからの意に関せずに扉の開く

  真っ白な牛乳パックに牛乳は満たされており 苦しからずや

 

 編集委員からひとこと

  まずは短歌の器を使って書きたいものを書き、言いたいことを言いましょう。その上で、自分の言

 いたいことが読者に過不足なく通じているか、描写やものの見方にありきたりな点がないかをよく見

 つめ、表現を練りあげて下さい。表現活動はつまるところ、その繰り返しです。

  わからないことは何でも気軽に聞いて下さい。あなた自身判断を尊重します。

  その判断材料はつねに提供できるようにしています。

​菊池孝彦

1962年(昭和37年)東京都生まれ。1989年(平成元年)「短歌人」入会。

2014年(平成26年)より「短歌人」編集委員。

歌集は『声霜』(六花書林)、『まなざさる』(六花書林)、『彼の麦束』(六花書林)の三冊。

このうち『声霜』と『彼の麦束』は旧仮名定型、『まなざさる』は新仮名自由律で制作した。日本語と短歌との関わりを精神分析の視点から考察した短歌評論にも注力している。作歌と歌論においては常に原理原則に忠実な立場を堅持している。座右の銘は「紅旗征戎吾事ニ非ズ」。

 自選作品

  空のどこかで空に渇けば鳥たちはうたふ その明るさのただなか(『声霜』)

  「われおもふゆゑにきみあり」ゆふぞらにセスナとグライダー繋がつて(『声霜』)

  帰らんとする者さまよいはじめる者ありて今が夕暮れ時ぞ(『まなざさる』)

  空はまだあかるいけれど足元はもう暗く 飛・べ、きみのふくろふ(『彼の麦束』)

  風やみて風におくれし花びらはなほとどまれりわが中空(なかぞら)に(『彼の麦束』)

 編集委員からひとこと

 「短歌人」は小宮良太郎、髙瀬一誌、蒔田さくら子を始めとする先達が築いた伝統を基盤に、権威主

 義的にならない自由な活動の場を発展させてまいりました。こうした運営方針を堅持するために私は

 尽力したいと思っています。私たちの活動の伝統と理念に共鳴する方々の参加を心よりお待ちしてい

 ます。

​神代勝敏

1952(昭和27)年2月12日生、東京生。

二十代に小中英之『わがからんどりえ』と出会い、1979(昭和54)年「短歌人」入会。

2008年より「短歌人」編集委員。歌集 『庭の時間』(六花書林)。

自選三首

 水草によりて寝てゐる鮒の眼にしみわたりたる冬の水うごく

 あまつばめおほこのはづくじようびたきほほじろすずめよたかいそしぎ

 温もりのいまだ残れる血液に放射線あてて籠にをさめぬ

​小池 光

1947年(昭和22年)宮城県柴田郡槻木町生まれ。

1972年(昭和47年)頃、「短歌人」入会。

1985年(昭和60年)より「短歌人」編集人に。以後25年間編集人を務める。

歌集に『バルサの翼』、『草の庭』、『時のめぐりに』、『思川の岸辺』など。

エッセイ集に『茂吉を読む』、『うたの動物記』、『石川啄木の百首』など。

 自選作品(短歌人近作の歌から)

  冷蔵庫の中にひとにはいはねども会津みしらずの柿ひとつあり

  ねがひごとあれば初春の賽銭箱にちいさく折りし千円投ず

  そのむかし町に来たりしサーカスは一頭の子熊をともなひてをり

​紺野裕子

1948年(昭和23年)12月1日生まれ。

1993年(平成5年)「人」入会、同年同会解散、同年「笛」発足、入会。

1999年(平成11年)同会退会。

2000年(平成12年)「短歌人」入会。

2014年(平成26年)より「短歌人」編集委員。

歌集に、『マドリガーレ』(2006年 砂子屋書房)、

『硝子のむかう』(2012年 六花書林)、

『窓は閉めたままで』(2017年 短歌研究社)がある。

自選作品

 出前用のバイクはふかく傾けり さびしい夜の碇とおもふ

 螢(ほうたる)よこつちの水は苦いぞい 汚染土を抱くちちははの庭

 レジ袋にみづ汲みあそぶ幼な子のまはだかにさすなつのひかりは

 おおブレネリ、くちずさみつつ浴室を磨きをへればなつの夕映え

 保線係が日なたの端に旗を上ぐこの世のさくら色づくところ

​斉藤斎藤

1972(昭和47)年、東京都生まれ。
2002(平成14)年、「短歌人」入会。2017(平成29)年より編集委員。
2003(平成15)年、第2回歌葉新人賞受賞。
歌集に『渡辺のわたし 新装版』(港の人)、『人の道、死ぬと町』(短歌研究社)。


 自選作品
  雨の県道あるいてゆけばなんでしょうぶちまけられてこれはのり弁
  撮ってたらそこまで来てあっという間で死ぬかと思ってほんとうに死ぬ
  低いほうにすこしながれて凍ってる わたしの本業は生きること


 編集委員からひとこと
 【選歌にあたって】私にとっていい歌とは、「ああ、このひとほんとにそう思ったんだなあ」と感じ

 られる歌です。①ほんとに思ってそうで完成度が高い。②ほんとに思ってそうでまあ出来てる。

 ③そんなに思ってなさそうで完成度は高い。の順で選歌します。だから選ばれなかった歌も、

 ほんとうにそう思ったのなら、大切にしてくださいね。

​斎藤典子

1950(昭和25)年生まれ。

1970(昭和45)年短歌人会入会、2001(平成13)年より編集委員。

歌集に、

『ジャズ祭』(1985年 短歌新聞社)

『真弓』(1996年 ながらみ書房)

『サイレントピアノ』(2002年 青磁社)

『季節』(2012年 砂子屋書房)

 自選作品

  文頭に「白露の候」と書き出せばおのづと文字は端正となる

  秋冷に花茗荷摘む行ひの小さきゆゑに確かなること

  耳聡くひとの声音の変りたるに気づきてゐたり白露の朝は

  秋日和九十八歳の裸身にやはらかき湯を注ぎてゐたり

  「末法」の世にある愉楽と思はするあやふさとして弥勒の微笑

 編集委員からひとこと

  ことばとこころを大切に。

 

中地俊夫

1940(昭和15)年生まれ。

1960(昭和35)年短歌人会入会、1969(昭和44)年より「短歌人」編集委員。

1996(平成8)年より2013(平成25)年まで「短歌人」発行人。

歌集に、『星を購ふ』(短歌新聞社)、『妻は温泉』(ながらみ書房)、『覚えてゐるか』(角川書店)の三冊がある。『覚えてゐるか』で第39回日本歌人クラブ賞受賞。

 自選作品

  火の国に来りし妻は火の国のことばとなりてわれと隔たる

  四十歳まで生きる愚かをいつか越えめぐりの春をただに見まはす

  朱(あか)き実を川に流しつづけたことぢいぢが死んでも覚えているか

  折れさうになりし心をあかときのベッドに座り立て直しをり

  おわああぎやあ、朔太郎のネコ鳴きだしてこの世の春をかきみだすなり

 

​平野久美子

1945(昭和20)年静岡県生まれ。

歌集に、『五月生まれ』『郭公円舞曲』、『青衣の星』。

​本多 稜

1967年 浜松生まれ。
1999年「短歌人」入会。

歌集:『蒼の重力』、『游子』、『こどもたんか』、『惑』。

受賞歴:第9回歌壇賞、第48回現代歌人協会賞、第13回寺山修司短歌賞。

自選作品
 蒼穹に重力あるを登攀のまつ逆さまに落ちゆくこころ

 数億年ひかりと水は待ちまちて今わが前に娘在らしむ

 シメコロシノキに覆はれて死んでゆく木の僅かなる樹皮に触れたり

編集委員からひとこと
  歌を通して経験や価値観を共有することができます。その喜びや苦しみを分かち合う場所の一つが 

 短歌人です。歌を作ることによって己を高めることもできるでしょう。そしてその研鑽の場が短歌人

 なのです。

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